【年収は?激務?】厚生労働省の医系技官に話を聞いてきた

【年収は?激務?】厚生労働省の医系技官に話を聞いてきた

どうも、医学生のかずき(@kiyoc1220)です。

つい最近、厚生労働省の医系技官の方に仕事内容などを一通りお聞きする機会があったので、その内容を話したいと思います。
医系技官についての詳細な情報はなかなか出回っていないので、貴重な内容になっていると思います。

医系技官のキャリアを考えている人はぜひご覧ください。

 

医系技官とは

厚生労働省のホームページでは、
“人々の健康を守るため、医師免許(歯科医師免許)を有し、専門知識をもって、保健医療に関わる仕組み作りの中心として活躍する技術系行政官”

と記されています。

要するに、医療制度作りに関わる、医師免許(もしくは歯科医師免許)を持った官僚、ということです。

医系技官が活躍している場所は、医療、健康、福祉を取り扱っている厚生労働省を中心に、文部科学省や環境省といった他省庁や、国際機関、保健所、検疫所など、医療に関わる様々なフィールドに及んでいます。

しかしながら、医系技官は全員で270人あまりと、少数精鋭となっています。

詳しくは、上記の厚生労働省のホームページを参照していただけたらと思います。

 

仕事内容・やりがい

・現場の声を聞き、
・データを集め、
・解決案を企画・立案し、
・審議会などで合意形成し、
・政策を実施する

というのがざっくりした仕事内容になります。

医系技官の方に仕事のやりがいをお聞きしたところ、

「医系技官は各部署に1人~数人しかいないので決定権が大きく、自分自身がしっかり練って詳細を詰めた案が政策として結構通るので、その点やりがいが大きい」
とおっしゃっていました。

 

適性・どんな人が向いているのか

・社会のために働きたい
・システムを通して、現場の医療を改善したい
・病気の予防などを進め、健康な社会をつくりたい
・国際的視野で仕事がしたい

こういった人におすすめです。

しかし、国際保健に携わりたい、感染症対策をやりたい、など特定の分野のみに興味を持って入省することはおすすめできません。
というのは、後述しますが医系技官は数年に1度部署移動があるので、ずっと1つの分野に携われるわけではないからです。

医療制度全般に関心を持たれている人が望ましいとおっしゃっていました。

 

年収

さあ皆さん気になっておられるであろう年収。

給与は、総合職国家公務員採用試験に合格して厚生労働省に採用された他の行政官と同等になるので、

モデル年収としては、

35歳 課長補佐 約800万円

45歳 課長 約1230万円

となっています。

同年齢の臨床医の相場と比べると、やはり安くなっていますね。
医師免許を持っているからといって、他の官僚より給料が上がるということはないのも意外に思われるかもしれません。

しかし、例外もあるようです。
医系技官の配属先としては地方自治体も含まれているのですが、地方に配属されると、若手でもいきなり課長として配属される上に、医師手当が付与されるため、本省と比べて年収が倍近くになったとおっしゃっている方もいました。

 

勤務時間

激務と噂される厚生労働省ですが、勤務時間は規定上どうなっているかというと、

“規定の勤務時間は9時30分~18時15分です。”


なわけねぇだろと。

しかしこれには続きがありました

“登庁時間は概ね9時30分ですが、部署や時期により、退庁時間は大きく異なります。”

まさにこの通りのようです。
何も間違ったことは言っていません。

じゃあ実際何時まで仕事をしているのかと。

かつて医系技官に実施したアンケートの中で、平均退庁時間の項目があったので、その結果を見せていただきました。

すると、

過半数が21時~23時となりました。

やはり激務と言えそうです。

しかし、このことを医系技官の方に伺うと、

「初期研修や臨床医時代のことを考えたら、とりわけ激務とは思わない」

という答えが複数返ってきました。

急な呼び出しや当直、土日勤務があったりする臨床医に比べたらまだマシ、ということだと思います。

医系技官は官僚で、土日祝は基本的に休みなので。

また退庁時間は、本当に部署や時期により異なるようで、
例えば診療報酬改定期だと、診療報酬を取り扱っている保険局はもちろん忙しくなりますし、
国会が開いている期間中はその担当の部署に夜遅くに仕事が来たりすることもありますが、
そういう場合でなければ、定時近くで帰れることもあるようです。


ちなみに、時間外手当という概念があるかどうかは不明でした(笑)。

厚生労働省自身が働き方改革をやっているだけあって、昔に比べて最近は早く帰宅するようになってきたようですが、
まずは身内から働き方改革を徹底してほしいところですね。

 

兼業は可能?

医系技官は、勤務時間外に診療業務を行うことができます。

これは、専門医資格の維持のためであったり、臨床経験やその専門性を医療政策の立案・企画に活かすために許可されているのです。
2週間に1回など、職務に支障が出ない程度で行うことができますが、実際はなかなか余裕がなく難しいとのこと

また、医系技官と医学博士課程を両立されてる技官の方もいらっしゃいました。
あとは博士論文を執筆するだけ、という状態でしたら、大学院と両立することも可能なようです。

 

部署移動

医系技官は、総合的な力を身に着けるため、様々な部署、省庁、機関への移動があります。

基本的に2年に1回、WHOなどの国際機関では3年に1回移動します。

本人の希望がなるべく配慮されますが、国際機関など希望者が多いところでは、すぐには希望が通らないこともあります。

時には、

「2週間後から〇〇県ね」

と突然配属先を告げられることも…。

医師何年目で入省すべきか

厚生労働省からは、医系技官として総合的的な力を身につける観点から早期の入省をおすすめされています。

つまり、最短で入省できる初期研修終了後(医師3年目)からがベストということでしょう。

実際、初期研修後すぐに入省された方が最も多かったように感じました。

しかし、長年臨床医として勤めあげてから入省した方がおっしゃっていたのは、これとは異なる内容でした。

医療制度作りに携わる医系技官に求められるのは、臨床の現場の知見。初期研修でお客様のように各科をローテートしただけでそれがわかるかどうかは疑問。もうちょっと臨床をしっかりやってからでも良いのではないか。」

臨床医を長年やられてきたからこそのお言葉だと思いました。

現場との意見のズレから厚生労働省を批判する医師の方は多数おられると思いますが、こういうところに原因があるのかもしれませんね。

自身の経験が不足していると、適切なヒアリングができませんし、視野を狭くして

他にも、「初期研修終了後以降でも入省できるので、とりわけ急ぐ必要はない」とおっしゃる方もいました。

臨床医としての知見を持つことと、医系技官としてのスキルアップの両者どちらも必要とされるため、そのバランスを取ることが難しく、入省時期の唯一の正解はないと言えるでしょう。

正規のルート以外では、大学の医局から人事交流という形で厚生労働省に派遣され、数年間医系技官として勤めるという関わり方もあります

これには、臨床医に医療制度作りの内情を理解してもらい、臨床現場と本省の間の溝を埋めてもらうことでスムーズに業務を遂行したい、という厚生労働省側の思いがあるようです。

人事交流で来られた先生の中には、勤務期間後そのまま入省される方もいらっしゃいます。

 

採用について

年1回実施されています。

一次試験と二次試験があり、
一次試験はグループディスカッション、小論文及び面接等、
二次試験は個人面接となります。

学力や英語の試験はありません。

採用試験で最も大事なのは協調性
官僚は臨床医以上に協調性が求められるため、その点はしっかり見られるとおっしゃっていました。

臨床医も協調性は大事だと思いますけどね(笑)。

昔は人手不足気味だったため、応募を出せばほぼ合格するといった状況だったのですが、
最近は徐々に倍率が上がってきているようです。

なお、医系技官の方の出身大学は本当にバラバラで、全国の65以上の大学から来られています。

 

医系技官をもっと知るには

医学生・大学院生向けに、毎年夏休み期間に各部署で1週間~1か月のインターンシップが行われています。

インターンシップでは、医系技官の方と一緒に実務を行うことができます。

このインターンシップには書類審査があるのですが、部署によっては倍率が高く、選考通過が難しくなっています。
地域医療政策や、国際保健といった部署は人気が高いです。

他にも、厚生労働省はレジナビでの出展や医療政策セミナー採用個別相談会などを行っています。
これらのイベントは、医系技官の方と直接お話ができる貴重な機会なのでおすすめされていました。

イベントの詳細なスケジュールはこちらをご覧ください。→医系技官イベント情報

 

感想・最後に

制度作りサイドのことを理解してくれる医学生・医師を少しでも増やしたい。
医系技官の方はそう強調されていました。

少しでも興味のある方はお話だけでも聞きに行ってみてください。
臨床医として働くにしても、決して他人事ではない内容をたくさん聞けると思います。

しかしながら話を聞いていると、厚生労働省は制度を作るばかりで、果たして本当に現場の声に寄り添えているのだろうか、と僕は疑問を感じました。

現場との溝が埋まるのは、まだまだ先になりそうです。

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